あなたを待っている
由希美と出逢って2年…。

どんどん大きくなる由希美への想い。

でも俺は自分の気持ちに気付かないフリをして千鶴との同棲を続けていた。

千鶴と結婚の約束をして同棲を始めたんだ。

俺は、千鶴を裏切ることはできない。

だから、由希美への気持ちに蓋をする。




でも、千鶴は…俺のそんな気持ちに気付いていた。

いつものように千鶴を抱き、ベッドの上で千鶴に腕枕して、その頬にキスをしようと近づいた。

俺の唇が触れる寸前に顔を背けた千鶴。

『ねぇ、ひろくん。最近、何かあった?』

千鶴は、俺に背中を向けたまま言った。

『…別に何もないよ。どうした?』

俺の答えに、

千鶴はパッと俺の方に振り返り、俺の目を真っ直ぐに見つめながら

『誰のこと考えながら私を抱いてるの?』

そう言って、その目から大粒の涙を溢した。
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