あなたを待っている
『行こう。……由希美。』

たなくんが私を“由希美”と呼んでから、ポカンとする私の手を引いて歩き出す。

居酒屋にでも行くのかと思っていたのに、連れてこられたのは24時間営業のスーパー。

『何か買って俺んちで飲みながら食べよ。』

スーパーに入りながら、たなくんは平然とした顔で、そう言った。

『えっ?でも彼女いるんでしょ?』

『それは、後で話すよ。』

たなくんは、ビール、カクテル、梅酒、お惣菜、お菓子などをカゴにポイポイと入れると、

『由希美。何か欲しいものは?』

と私の手を引いたまま顔を覗きこむ。

『ううん。』

『じゃ、行こうか。』

たなくんは、お会計をして外に出る。

『俺んち、もうすぐだから。』

そう言って私の手を握り直した、たなくん。


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