あなたを待っている
隣に座っていた由希美が、画面を見て、ビクっとなり俺の腕を掴む。

『大ちゃんと千鶴って知り合いだったの?』

大ちゃんは俺の問いかけには答えず、由希美に向かって言った。

『由希美ちゃん、大丈夫だよ。少しだけ話させてあげて。』

大ちゃんの言葉に涙を浮かべながら頷いた由希美。

俺は由希美の手を強く握りしめてから、携帯を耳に当てる。


『…もしもし…。』

『私…千鶴です。久しぶり。元気だった?』

『うん。元気だよ。千鶴は?』

『うん。元気。……あのね……』

『ん?』

千鶴は、それからしばらく黙っていた。

『千鶴?』

『あっ…。ごめんなさい。あのね、私、結婚したの。』

『そっか…。おめでとう。良かったな。幸せになれよ。』

『…ありがとう。ひろくん、あれから彼女作ってないって大垣くんから聞いてたの。だから…本当は…もっと早く連絡しなきゃならなかったのに、遅くなってごめんなさい。』

『いや…。大丈夫だよ。千鶴が幸せになれたならいいんだ。…安心したよ。』

『ありがとう。次は、ひろくんが幸せになる番だね。彼女のこと幸せにしてあげてね。』

そう言って千鶴は電話を切った。
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