あなたを待っている
案内してくれたのは、賃貸管理部の阿部優希さんという女性だった。

『私の友人夫婦も住んでるし、うちの管理物件なので安心して住めますよ。』

そう言って微笑んだ阿部さん。

目の前に公園があるし、近くにスーパーもある。

間取りも2つの部屋がダイニングを挟んで対面になっている振り分けタイプで、特にベランダからの景色を私は一目で気に入った。

たなくんは、私の様子を見て言った。

『由希美が気に入ったなら、ここに決めていいよ。』

『いいの?』

『うん。ここにしよう。阿部さん。ここに決めます。空いているのは、この部屋だけですか?』

『空いているのは、この202号室と5階の505号室です。まだ退去したばかりなので、リフォームが終わってないから入居できるのは、月末くらいになると思いますよ。でも5階の方が角部屋で眺望もいいし、東側に窓があるから明るいですよ。家賃は2階より上がりますけど。』
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