あなたを待っている
『じゃ、5階も見せてもらえますか。多分5階の部屋を契約すると思うんで。』

『はい。では、ご案内しますね。』

阿部さんに案内され505号室に入る。

阿部さんに言われた通り、景色が2階よりも良くフロアーの戸数が1部屋少ないので、部屋も広かった。

『ここに決めます。すぐに契約できますか？』

物件を見た後、そのまま契約をしたいと言ったたなくんに阿部さんは、

『千鶴ちゃんが言った通り…。』

そう言ってフフフと可愛らしく笑った。

『千鶴は…千鶴さんは、何と？』

『あっ。すいません…。絶対、由希美さんは、この部屋に決めるだろうからって。』

そして持っていたバッグから、クリアファイルに入った分厚い紙を取り出す。

その書類を手渡され中を確認すると、この部屋の契約書だった。

印鑑は押してなかったけど、私達がサインして、押印すればいい状態の契約書。

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表紙・目次

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