月影の涙Ⅱ~私はただの人形~【完】
シュンッ
ナイフを取り出した。
稀月「残念な君を殺してあげる。」
ナイフを俺の首に当てる。真顔なあの人。徐々にナイフに力を入れ始める。
翔「ん゛」
首筋から何かが垂れてくるのが分かった。
やっと俺は解放される……
そう思った途端。
稀月「やっぱやーめーた。」
翔「え?」
稀月「叫んで嫌がって震えて怯えるような人の
方が殺しがいがある。」
翔「な、なんで。」
稀月「こんなに希望に溢れた目をしてるのに」
翔「は?」
稀月「辛い事があるならそれを吹き飛ばす位の
いい事をして楽しめばいいじゃん。」
翔「な、何言って……」