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「ありがとう。って、フィーラ・・泣いてたのか?!」

「ううん。なんでもないわよ。で?どうしてここへ?」

「さっきも言ったさ。ひとりでいたくないんだ・・。」

「へぇ・・。あたしは一人のほうがいいな。」

「おれは、いやだね。」

「・・・そうね・・。もう、はいってきちゃたんだし・・。」

そして、しばらく、沈黙が続いた。

 沈黙を破ったのはフィーラだった。

「あたしね・・わかんないの。」

「・・何が?」

「ここにいる意味。」

「なぜ?」

「・・あたし・・別にいなくてもいいと思うの・・。」

「そうか・・?でも、おまえはこの国の後継ぎだろう?いなきゃいけないんだ。」

「・・・わかってる。それじゃあ、起きてじゃない。まるで。」

「あたりまえだ。これは、生きがいでもあり、起きてなんだ。国を治めるって言うさ。」

「フランクは耐えられる?」

「たえてるじゃないか。」

「あたしは無理だわ。こんなの。」

「・・・・・。」
 
「フランクだって、しぬまでこれなのよ?」

「でも、耐えるさ。」

「じゃあ、さようなら。フランク。あたしは嫌だ。ここにも、お母様にも、お父様にも。」

「その先、フィーラはどうするんだい?ここを抜け出して。」

そう言って、フランクはフィーラの目をじっと見る。

「生きるの。自由に。いけない?」

「馬鹿だな、フィーラ。おまえは一人のことしか考えてない。この国のことは?資金のことは?政治は?後継ぎは?いろいろな書物を整理しなきゃいけないんだよ。」

「すればいいじゃない。勝手にどうぞ?」

「・・・まだ、わかんないのか?甘えるなってことだ、フィーラ。」

フランクは最後のほうだけ、声がでっかくなってしまった。
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