学園世界のイロジカル
急に私たちの耳に届いた声。




周りをすぐに見るけど…古びた建物や、もうすでに今日は開きそうにない店があるだけ。



人が隠れることができそうなところはむしろいっぱいあって、どこに声の主がいるか分からない。




「江崎零。

有名製薬会社社長の父と、数学者の女との間に産まれた。

11歳にして数学オリンピックで金賞獲得、世界を揺るがした天才児。

イギリスの超名門大学を12歳で入学。

その後、14歳にして卒業式の代表をつとめるほどの天才に成長」




耳に流れ始めたのは、零の…情報。




どこかで聞いたことがある気がするようなその声は、どこか笑いをこらえているような声でもあって。





「しかし実際はこれまた世界を揺るがした事件の重要人物」





零に出会ってから…零に秘密があると知ってから、

絶対に詳しく聞かなかった情報。






__零が起こした事件







「…黙れ」




背筋が凍りついてしまいそうな恐ろしい声をあげたのは




…いつどんな時でも冷静なはずの、零。








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