学園世界のイロジカル
『出てけよ』




あれは…本当に零?…普段とあまりにも違うじゃないの。



いつも敬語でクールで、滅多に笑わないで。

感情もそんなにあらわにしない。

そう、どこか他人行儀なヤツ…




「…ああ、もう分かんない…!」




青と薄茶の目が、確かに私を睨んでいた。


けど…いつもの零と、なにかが違う…?



確かに、あの"目"は…





「…まるで、怯えてたみたい…」





『どうして』

『出てけよ』





いつもの零と違う、そんな零の姿は。




少し触れただけでも怪我をしてしまうような鋭い棘で身を守っている人?



そして…


本当は寂しいのに、不安でたまらないのに




誰からの力も借りないで


1人で生きていこうとする人…





『…本当は、幸せと楽しみを得るためだったのです』





彼の、本心。



彼が日本に来て高校に行こうとした理由、それこそが彼の本心だった。





「…椿、いますか」



「…!」



壁1枚越しに、小さかったけど確かに聞こえた声。




「い、いる!」



思いっきりドアを横にスライドさせると、目を少し見開いた零がベッドに座っていた。




「…馬鹿ですね。ここは病院ですよ」




「ご、ごめんごめん…」








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