学園世界のイロジカル
この声が聞こえているなら
誰か助けて。
四方八方に手を伸ばしても
誰も助けに来てくれやしない。
分かっていた。解ってしまった。
「いった、い……」
例えようのない痛みが
胸を、襲う。
「どちらに行かれるのですか、零様!
遊びに行かれるのなら車を用意しますし、まずその怪我が…!」
「安心して、じい。もう怪我は大丈夫だから」
1週間後。
広い広い門から一歩出ようとしたところで、じいに止められた。
「ですが…」
「大丈夫。変わったのは見た目だけだ」
左目が、青から薄茶に変わったと気づいたのはすぐだった。
そして、
心も、変わったと気付くのも。
この目の前にいる男が…信用できない。
「じい、もう戻って。大丈夫だから」
「…はい」
後ろ姿を見送ると、僕はくるりと身を返し
また一歩踏み出し、門からでようと…したところで、また。
「零!」
「…一也兄さん」
僕とは対照的な容姿の、僕の憧れの人。
いつもニコニコしていて余裕たっぷりな感じなのに…
僕は初めて、余裕の無い顔をする一也兄さんを見た。
「…どこに行くんだ、零?」
「すこし遊びに行くだけです」
「こんな時間にか?」
「もう暗いですけど、ここら辺は治安が良いですから」
誰か助けて。
四方八方に手を伸ばしても
誰も助けに来てくれやしない。
分かっていた。解ってしまった。
「いった、い……」
例えようのない痛みが
胸を、襲う。
「どちらに行かれるのですか、零様!
遊びに行かれるのなら車を用意しますし、まずその怪我が…!」
「安心して、じい。もう怪我は大丈夫だから」
1週間後。
広い広い門から一歩出ようとしたところで、じいに止められた。
「ですが…」
「大丈夫。変わったのは見た目だけだ」
左目が、青から薄茶に変わったと気づいたのはすぐだった。
そして、
心も、変わったと気付くのも。
この目の前にいる男が…信用できない。
「じい、もう戻って。大丈夫だから」
「…はい」
後ろ姿を見送ると、僕はくるりと身を返し
また一歩踏み出し、門からでようと…したところで、また。
「零!」
「…一也兄さん」
僕とは対照的な容姿の、僕の憧れの人。
いつもニコニコしていて余裕たっぷりな感じなのに…
僕は初めて、余裕の無い顔をする一也兄さんを見た。
「…どこに行くんだ、零?」
「すこし遊びに行くだけです」
「こんな時間にか?」
「もう暗いですけど、ここら辺は治安が良いですから」