学園世界のイロジカル
1人歩く道。


高級住宅地から出て、街に出て。



人通りが少ない道に行って、路地裏に行った。




「……もう疲れたんですけど…!」




何キロか歩いたところで、もう時刻は夜の11時になろうとしていた。



路地裏に座り込み、持ってきた缶コーヒーを開けて、飲む。




「…家出って思われてるんでしょうね」



いや、これは紛れもない家出だけれど。


けどなんか…そんな甘くない感じがした。




もうこの時期は寒く。



路地裏に倒れ込むと、もう動けなかった。



もう少し厚着をしてけば良かった。



ぼーっとする中、そんなことを思う。



あ…れ……なん、か…急激に…ね、むく………





「君。こんなところで寝てたら死んでしまうよ」




聞こえたのは、流暢な懐かしい英語。



閉じていく目をこじ開け、目の前の人物を見つめる。




金色の短髪に、薄緑の目。



にこりと笑ったその笑みは…どこか、懐かしい気さえする。




「…僕と一緒においで」




『危ない』



そんな危険信号がでていたのに、疲れ果てていた僕の体は動くはずなく。



ひょいっと持ち上げられ…暖かい車内に入れられた。




「行こうか、零」



なんで、僕の名前を?



そんなことを聞く余地も、僕の体にはなかった。




「僕はマルコ…よろしく。って…もう寝ちゃったか」






これが、マルコ先生と僕の出会いだった。





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