学園世界のイロジカル
私も反対側のドアに入り、そのまま外へ。




すると外には龍矢がニコニコしながら立っていた。




「お疲れ、椿」



「ただいま!」




龍矢と並んで闘技場から離れ、近くにあったベンチに並んで座った。



有名な龍矢様ですもん、女の子だけじゃなく男の子も大人も、通行人は龍矢を二度見する。



…おかげですごく注目されるよ、龍矢の隣にいる謎の新入生って名目で。




「おめでとう、と素直に喜びたいところだけど…

椿、気をつけなきゃいけないかもしれない」



声の大きさを下げて言う龍矢の声は、真剣そのもの。



ただならないその空気に、私は黙って次の言葉を待つ。





「外部組1年同士の決闘。

普通の人は大した決闘ではないと、見ない方を選択する」




「でもそれは、今年の鳥月宮の新入生がどんなものか調べるためなんじゃ…」




「さっきはそう言うしかなかった、確証もないしね。

けど…戦ってる時に視線を集めていたのは、

職持ちの相手の女の子。


それが普通だけど…人数の4割は…明らかに椿を見ていた。


そこで俺はやっと自分の考えに自信を持つことができたよ」




嫌な汗が出てきて、それを拭う。



なんか…嫌な感じがして、たまらない。




龍矢を見ているはずの通行人が…その通行人のわずかな人が、確かに私を見ている気がするのは、気のせい?自意識過剰…?




「もしかして、気づかれたのかもしれない。


椿が"超能力使い"だということが…」





超能力使いだということがバレたら



いつ、決闘を申し込まれてもおかしくない日常になる。




職は違えど体験者である龍矢の言葉が、私に重くのしかかってきて。




思わず周りを見渡す。
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