学園世界のイロジカル
一応この人工森みたいなところも風は吹いてるらしく、ザアアア…と揺れる木々の間に耳を澄ます。




なんにも聞こえないけど…



ここで気配を感じなきゃ、やられる…!




見つかる前に見つけなきゃ……!!





ザクッ……そう、確かにどこかで木が"切られた"音がした。




距離はそう遠くない…20m、いやもっと近い!




高くなった身体能力を使って、思いっきり右足に力を入れれぐっと地を蹴り、近くの木に飛び乗った。




「……見ーつけた」



「!?……わっ!!」




急いで飛び移って木を変える…振り向かなくても分かる、さっきまで私がいたところの木の枝が切れていることが。



も、もっと自然を大切にしようよ……!



にしても怖すぎる!




手頃な太めも木の枝に立って、ゆっくり振り向く。



そこには…明るめの茶髪の、結構顔が整っている男子が口角を上げて立っていた。




「…外部組1年で残っているのは君ともう1人。

職持ちと3人とも戦っておいて生き残っているラッキーガールなんて呼ばれてるの、君知ってる?」





ラッキーガール…まあ確かにその通りだし、文句は言えないけどさ。



これでも私だって頑張ってるの!



職持ちの能力者相手に戦ってると、すごい体力一気に消耗するんだから……!





そう思うと…能力を扱えない、無力な自分が悔しくなってぐっと唇を噛む。



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