学園世界のイロジカル
「いただきまーす!………って、なにこれ……!」



なにこのアップルパイ…すっごい美味しい……!



「りんごの甘さの中にあるちょっとした酸味。

それを引きたてるキャラメルの匂い……シナモンの味も少しある。

口に入れた瞬間りんごはほろろ…っと溶けていって、そしてパイの部分は……」




「落ち着け椿。ここのケーキが不味いわけねえだろ」



柊も美味しそうな顔でクッキーを頬張り続けてる。



良いなー、と思って見た私に対してクッキーを遠ざけたのは…なによ、私が食べるとでも!?




……食べようと思いましたとも、美味しそうでしたものアイスボックスクッキー!




「あはは、やっぱりマスターの淹れる紅茶は美味しいよ。

俺は紅茶に詳しいわけじゃないけど、他のどのカフェより美味しい気がするな」




「龍矢、きっとそれは本当に気がするだけさ」





年を感じさせないその笑顔、もうメロメロになりそう。


それに2人とも仲良いなんて、もう何者ですか?ってレベル!




「ここはこんなに美味いのに、裏通りで目立たないせいかそんなに客が来ないんだよ。

だから俺ら五傑席の間で代々ここが紹介されるんだ。


ま、1回でも来たら90%以上の確率で常連になるな」




うん、これは常連になるわ。


オシャレな雰囲気に美味しいケーキ。


良い香りがするコーヒーに落ち着いた店内。




それにこんなにかっこいいマスターさんがいるんだもんね!




「それにしても今日は長月宮はテストなんじゃないのかい?」



「ああ、そうだよ。

でも今回から龍矢が1位にならないと俺は思うね」



「おや、なんでだい?」




「今年の外部組にすっごい天才がいるんだ」



多分、それって零のことだよね?


……って、龍矢今まで1位だったの!?




「3年間1位って…それもすごいね」



「いいや、俺は2年と少し、1位だっただけだよ」



「へー…じゃあ最初の方はどうして?」



よく男子にありがちな、後半思いっきり順位あげてくるパターンですか?



「ううん、ちょっと3回目のテストまでは受けてないんだよね、俺」



「……なんでか聞いてもいい?」



「別に、ただ入院して入学が遅れただけだよ」




< 306 / 533 >

この作品をシェア

pagetop