学園世界のイロジカル
*


だんだんと暖かくなってきたとは言え、この時刻になると寒いな。



俺は1人、家をそっと出る。



今は夜の11時過ぎ。


大通りや飲み屋街の方に行けばまだ人はいるだろうけど、城下町にはまばらにしか人がいないと思われる時間帯。




この半世界のどこかで馬鹿笑いしている連中が心から羨ましい。



なんだって、俺は今から…ちょっとした犯罪を犯すかもしれないのだから。



半世界の法が明らかに人間界より緩いとはいえ、



さすがに勝手に王城に忍び込むなんて…まあ、結構大変なことになると思う。



王城に忍び込んだら罰する、なんて法は確かないはずだけど。




そんなことを思いながら、白衣が風に飛ばされないように手でおさえる。


…まだ風は多い。




こっちの気候は大分日本と似ている…とすれば、そろそろ梅雨の時期。



春風から雨風と変わる時期。



そういえば天気予報で、明後日が雨だとかなんだとか…





「明後日、か……」




明後日、あいつらは真実を知ってどう思うかな。



想像するだけでおもしれえし、なんか悪い気もする。




けど…



あいつらを巻き込むわけにはいかない。




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