学園世界のイロジカル
「王城にある練習室……それは、半世界で1番大きな練習室です」




トン、トン、と静かに階段を上がってくる足音。


…確かに、1人だけしかいない足音。けど…



…振り返ってはいけないような、そんな威圧感。





「俺がこの馬鹿にでかい城で1番好きな場所ですね。

この練習室は、他の練習室とは明らかに違って面白いですからねぇ」




まだトン、トン、という階段をあがる音は止まらなかった。


けど確かに…近づいてくる…





「君たちはこの練習室でどうなりますかね。

俺は…君たちの顔が、絶望に歪む姿が見たくて仕方が無いです」





トン、という階段をのぼりきった音が聞こえた。


ふっ、と短く笑う声も…





「…君たちは、なにを望む。

友を、仲間を救うことですか?


…それとも、やはり自分の身を可愛がるのでしょうか」





途端、私と柊のほんの隙間になにかが通る音がした。



それに反射した柊がぐっとしゃがみ、後ろにいる何者かへと思いっきり足を振り上げる…



…けど、私が振り返った時には、もう1人の人物は悠々と立っていた。




「…怖い顔をなさる。

そんなに俺の言葉に不愉快な気分を得ましたでしょうかね?」




その人物は、うっすらと、小さな笑みを浮かべた。



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