学園世界のイロジカル
だからっておやつまで制限するのはどうかと思うね。


1度だけ食べた、あの"アイス"の味は忘れられない。


もう季節は6月中旬。


いくら山奥の人里離れた村であろうと、汗がにじみはじめる季節だ。





「…ねえ龍矢、龍蛇神様の話、全部言える?」


「ああ、もちろん。

昔からおババ様に何回も教えられたから」










昔々、もう1000年以上も前のこと。



この村は流行病に大火事に、雨による大洪水にとそりゃすごい災害が2年続いたそうな。


そんな中、2人の旅人がやってくる。


その2人の旅人は男が"龍"女が"蛇"と名乗る、不思議な者達だったそうな。


2人は、龍蛇神様を信仰するのならばこの災害を止めてみせると言った。


村人たちは半信半疑だったが、藁にもすがる思いで2人の旅人の通りにした。


そして50年に一度の大三日月の日。


大三日月とは様々な因果が重なって、
唯一この山からだけ大きく大きく見える三日月のこと。


2人が不思議な儀式をすると、大きな大きな三日月から、大きな龍と大きな蛇がやってきた。


村人は恐れおののくと同時に、不思議な淡い青や白の光を体から発する、その神々しい姿に心から信仰した。


それに満足した龍と蛇は、この村の災害を不思議な力で一瞬で治したという。


帰っていった神様である龍と蛇…龍蛇神。
残った2人の旅人に、村人たちはこの村にいてくれと頼み込んだ。


2人は龍蛇神を信仰していており、なおかつ人も心優しいこの村が好きになったので快く承知したという。


そしてその大三日月のもと、その日のうちに婚姻を結んだとか。


巫女であった女と、龍蛇神の使いと言われた男の孫が、ちょうど大三日月の日に産まれた。


するとその孫がいた数十年は豊作だったり災害がなかったりと、幸せな暮らしをすることができた。



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