学園世界のイロジカル
そう言ったナミは、かたかたと震えていた。



半身ベッドから起き上がり、両手を顔にやって1人、泣いていた。



俺も半身起き上がったけれど…なぜか、それ以上動けなかった。




「…忘れたい、の。

私……


…もう、なにもかも。



"蛇"のことも…忘れたい……」




その言葉がなにを意味するかなんて、俺には容易に分かった。



つまり、ナミは全てを忘れたいのだ。



村での思い出も、

龍蛇神の巫女という肩書きも、

あの大火事も、




俺という存在も。






「……龍矢…ごめ、んね……」





彼女は、弱くて強く、強くて弱かった。



弱いようで本当は自分1人で誰にも甘えずに生きていこうと思えるほど強く、


強いようで本当は誰かに泣きつきたいほど弱かった。




…けれど、


彼女の決心した目は、綺麗だった。





「…ねえ、龍矢…」



ナミのその先の言葉を、俺は知らない。




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