学園世界のイロジカル
あとは適当にTシャツ着といて、デニムのスキニーを履いて。




しあげに、チョーカーを。




サテン生地のクラシカルな黒のリボンのチョーカー。



そしてこれには、真ん中にある飾りがついているの。



それは、ルビー。



小指の爪の半分もないような小さなルビーだけど、


その深紅の色は見たものを簡単に離さない美しさを秘めている。




このチョーカーもつねに、と言っていいほどつけてるから、パーカーと同じで私のイメージカラーが赤になったんだと思う。



はっきり言ってカジュアルな格好になんでそんな上品なチョーカー?と友達に聞かれたことは決して少なくないけど…



けど、これが私の普段着なのだ。





「んじゃ、行ってきまーす」



誰もいない家に比較的大きな声で呼びかけても、もちろん誰も返事なんてしない。



「予想以上に早いですね。


僕の中で、女性は約束の時間より5分ほど遅れる印象しかないですが」




けど、扉を開ければ。


相変わらず表情を変えない零がいて。



…なんか、嬉しいなって感じる。





そこで私は、零の”異変”に気付いた。



「…なんか、違う」


「なにがですか?」




零が…ちょっと違う!


いつも不良もどきなイケメンなのに、


今は不良っぽさを感じない。



なんで…?



「あ、分かった!髪が寝ているからだ!」



いつもちょっと逆立ってたのに、今は寝かされてる!



髪の毛だけで…大分印象が違う!




「あぁ、僕は昔から猫っ毛なんですよ。

いつもは直したいんですけど、直す時間なかなかないので」



なるほどねー。


…最初っからこうだったら、私だって不良だと間違わないのに。



でも今は今で、まるで異国の王子様みたいで…



ちょ、ちょっと話しづらいなぁ、最初っからこれじゃ。




やっぱり不良っぽい零でもいいや…!



< 37 / 533 >

この作品をシェア

pagetop