学園世界のイロジカル
…いや、無理でしょう。チョーカーに見惚れてる場合じゃない。




「…ごめんなさい、お世話になりました」




「いやちょっと待ってちょっと待って!!」




ベッドから立ち上がった矢先、腕をぐいっと引っ張られる。



…まだだるいけど、前よりは全然良いし。


放っておけば治りそうだし。



…確かに感謝はしているけれど、さすがにこの女を疑わない方がおかしいと思った。



しかもこの人、私と同じ日本人。


さらに怪しい。





「まだダメよ!ちゃんと治っていないんだから!」



「…そう言って私を売る?」



「え?」




何人も見てきた。


なぜかこんな身体でも体力はある方だから、私は逃げ切っていたけれど。



路地裏にたかる小さい女の子目当てにやってくる、強面の男たち。




「女の子は"高く売れる"のでしょう?」




まだ8歳。


たった8歳なのに達観した私の考えを恐ろしく思う大人も見たことがある。



けど、路地裏で、1人で生きてきた私にはこんな考え自然とできる。



いや、できなきゃいけない。



身を護るためには。生きるためには。



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