学園世界のイロジカル
…気付かない方がいいなんて思っちゃった私は、何て悪いやつなのかな。





「椿さん…


…さようなら」





後ろから迫ってきた"なにか"を、反射的に身体が反応して、しゃがむ。


そのまま後ろにいるはずのあの人の足へと向かって自分に片足を滑らせるけど…あの人はバックステップで逃げて、遠くにいた。




…やっぱり。





「…やっぱり、あなただったんですね」



「お久しぶり、椿さん。

あたしのことを覚えてたんだね」




敬語なのか敬語じゃないのか分からないような言葉遣いと、その声色に懐かしさを感じる。



なんだかんだ結構会ってない。




あれからも時間は経ってるし。




「…あたしの名前、知ってるっけ?」



「…いえ」




結局私は、この人の名前もしらなかった。



ちゃんと、聞いておけば良かった。




ふふ、と笑うその人は、透き通るように美しい水色のポニーテールを揺らした。



…気配がないのか、それとも魔法を操ってるのか…



みんな、この人に気付かない。




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