学園世界のイロジカル
戦いの衝撃で割れた窓ガラスの破片を手にし、首に向けた時…やっと私は我に返った。




手を伸ばし、叫んだ。やめろ、と。




彼女はやめなかった。



笑って、泣いて、あの時みたいに言った。




「さよなら」




そのさよならは、誰に向かっていったのか。


私だけじゃない、きっと。



彼女の娘に向かっても言ったはずだ。




…沙羅の死を目の前で見てしまった私は、沙羅の思惑通り公表どころじゃなくなった。




けど。



私は10年たち、思った。



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