学園世界のイロジカル
「これはまだ表に出していない試作品なもんでね。

名前は言えねーけどさ」



てらてらと薄光りに反射しながら落ちてゆく赤い液体は、倒れこんだ人形達に降り注がれてゆく。


その赤の液体に触れることが危険と判断したのか抗おうとする人形たちを見て、柊はふっと笑みをこぼしていた。







「ま…

科学のマジックも、いいもんだぜ?」






そう言った柊は、高速でまたタブレットを操作してゆく。

その最中も笑みを絶やさない柊。





その様子を一瞥した私の隣にいる零は、ポイセを見て少しため息をついた。



【19:03】




その画面を見た瞬間、私もおもわずため息が漏れる。



柊に報告しなきゃ…



そう思って、彼を見る。


けど、目の前にはさっきまでなかったはずの物があって。



「なに、あれ…!!」



柊の操作が終わると、まるで人形達を囲むように薄い緑色の壁が出来ていた。



その壁の中でなお動こうとする心の無い人形達は黒く感情の無い瞳で柊を睨みつける。




けど、すぐにその睨みは無意味となった。





_ドオォォォォン!!








緑色の壁に囲まれた中で爆音が鳴り響き、業火が起こる。



メラメラと赤く、紅く燃える炎に燃やされてゆく人形達。





炎の合間に見えた彼等の瞳は、未だ柊を睨みつけていて。




…そして急に、私へとその睨みがやってくる。






「っ!」





息を飲むようなその鋭い瞳に私は後ずさった。



すぐに業火がその瞳さえも隠してくれたけれど。





「…すごいですね。


これが生徒会長…"第一席"の実力ということですか」




「さすがに燃やすとは思わなかったけどね」








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