わがまま レンくん
『.……』

「………」

一緒に歩いてるけど気まづいです。
無言だし 杉波くん背が高いから一歩が大きくて
着いて行くのがやっと…
自然と顔も足元に行ってしまう


「おい、リス なんか話せ」

『えっ?』

突然 喋り出したと思ったら
なんか話せと 無茶ぶり
そんな 急に言われてもなぁ


『……名前』

「は?」

『私の名前…リスじゃない。武原莉奈って名前がちゃんとあるの!』


リス呼ばわりは嫌だ
せめて、苗字で呼んで欲しい


「え、ウケる(笑)名前くらい知ってるし(笑)ってか、名前ない人間なんかいないだろ」

『だったら、ちゃんと名前呼んでよ。リス呼ばわりは嫌なの』

「分かった 分かった 名前で呼んでやるから(笑)」


杉波くんは、何がそんなにおかしかったのか
ツボに入ったのか分からないけど
「ウケる(笑)腹痛い(笑)」
とずっとケラケラ笑ってた


『杉波くんって笑うんだね』

「え?何?」


拍子抜けな顔をしてこちらを見る杉波くん


『杉波くんって今日1日 学校途中で抜けちゃうし ずっと怒ってるような顔だったし
あんまり笑わない人だと思ってた』

「笑う時だってあるだろ。そりゃあ」

『笑った方がいいよ!私 そっちの杉波くんの方が好き』


怒ったような顔より よっぽどいい


「俺 初対面のやつ苦手なんだよ。慣れるまでは、どうしても無理」


え?って事は 人見知りなの?
じゃあ、慣れるまでは 仲良くなれないのか


『じゃあ、杉波くんが慣れてくれたらでいいから怖い顔やめてくれる?』

「怖い顔?」

『校門前で会った時も 教室でも さっきの店でも 不機嫌そうで怖い顔だったの』


素直に今日一日で感じた事を伝えてみた
これで嫌われちゃったらしょうがないな


「莉奈ってめっちゃストレートなんだな(笑)」

『え?』

名前呼んだよね 今
ちょっと急で不覚にもドキッとしてしまった


「リス呼ばわりは嫌 とか 笑った方がいい とか 怖い顔とか 言う事がすげぇストレート(笑)」

『あっ!ごめん。それより名前…』

「あ?莉奈が名前で呼べつったんだろ?」

『そ、そうだけど あまりに急で』

「名前 呼ぶのに予告するやつがいるのか?莉奈 面白すぎ(笑)」


杉波くんのツボが分からないけど
リス呼ばわりは回避されました!←


『それもそうだね(笑)変だね(笑)』

「だろ?(笑)あー。久しぶりにこんなに笑った」


とりあえず 杉波くんが楽しそうならいっか


『あっ!ここ』
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