鬼呼びの花嫁
碧色の宝石が瞳の奥で鋭く光った。
「彼女が覚醒した時には、その時にはわたしも遠慮はしません」
―――覚醒?
榊先生?
わたしにまだなにかがあるの?
藤先輩が一歩下がると紫色の瞳がスッと人の目に戻った。
周りの空気が変わる。
藤先輩の記憶操作が解けたのか先輩はそのままわたしの前から姿を消した。
「鬼呼びちゃん、またね」
口元だけの笑みを残して。
「榊、先生?」
気づくと榊先生に肩を抱かれてた。
それに気づいた先生もわたしを離した。
「覚醒って…」
「どんな力が奥底に秘められてるのかは正直わからないんです。……ただ、わかってるのはつばきさんを奪い合いになるということです」
「……奪い、あい?」
「ここでは力を有するものが絶対なんです。わたしも本能でわかってます」
「本能―――」
「いずれ、つばきさんが鬼呼びの力を解放する時がくる。その時にはわたしも運命には抗いません」