鬼呼びの花嫁
榊先生が話しかけたのは窓際の一番後ろの生徒。
白いカーテンが横で揺れて、
日に透けたキレイな顔。
短めの黒髪。
横顔がとてもキレイ―――
みんなが見つめる中、桜木くんと呼ばれた生徒は窓の外を向いたまま榊先生を完全無視した。
「仕方ないですね。柊くん、お願いしてもいいですか?」
「はい」
返事もしなかった桜木くんの隣で立ち上がった人はとても優しそうな男子生徒だった。
「ホームルーム終わったら案内してあげるよ。僕は柊優輝。副会長をしてる」
「ありがとう、柊くん」
ガタッ
「桜木くん?」
「―――帰る」
え?
立ち上がった桜木くんは、わたしをちらりと一瞥しただけで顔を背けた。
「どんな人間が来るのか観たかっただけだし」
「人間!?」
ざわざわ
男子生徒だけじゃなく女子生徒までわたしに注目が集まった。