鬼呼びの花嫁
『何もなかったならいいんだ。ただ心配だったから』
耳もとで柊くんの声が優しく響いて、心配してくれたのが嬉しくて心が温かくなる。
「うん、大丈夫。榊先生がちゃんと教室にもついてきてくれたし、家の前まで送ってくれたから」
『そっか、よかった。なにかあれば力になるから』
「うん、ありがとう」
柊くんからの電話を切るとお母さんがわたしの傍に来て、
「お母さんね、柊くんでも榊先生でもいいよ」って冗談っぽく笑った。
「何を言ってるの、お母さんったら」
「モテるうちが華なんだからね」
そんなんじゃないのに。
みんなわたしが持ってる力のせいで集められただけなのに。
「お母さん、あのね。わたし、」
鬼を呼ぶ力があるの…
そのせいで力の強い鬼が集まって、それで―――
何を言ってもおかしなことを言ってるとしか思われないかもしれない。
けど、本当なの。