鬼呼びの花嫁
「つばきちゃん!」
「…ミイ、ちゃん?」
確かにミイちゃんだった。
幻じゃない。
そして、ミイちゃんの後ろにいたのは神梅白くん。
白く透明な瞳が黒く変化してく。そのままわたしを見ると、
「呼ばれたから助けただけだし」
息をひとつついて興味なさそうに呟いた。
「あ、ありがとう」
「べつに」
神梅白くんはまるで何もなかったかのように野次馬が集まった人混みの中に消えた。
「つばきさん、大丈夫ですか!血が!」
「え?」
「ガラスで切ったんですね」
「つばきちゃん、腕も切れてる。首が紫色…」
ミイちゃん、それに榊先生?
周りを見ると、榊先生の他に柊くんがいた。
あの車から助けてくれたんだね。
榊先生や柊くんが来てくれなかったらわたしとミイちゃん跳ねられてた。
「榊先生、柊くん…ありがとう」