鬼呼びの花嫁
榊先生が触れた部分に熱が集まる。
息苦しかった喉が少しだけ楽になった。
「呼吸を楽にしてあげられるくらいです」
「…榊先生、ありがとう」
「いいんですよ、つばきさんが無事ならそれで」
榊先生……少しだけ笑ってくれた。
ボンッ
大きな音にはっとした。
爆発音がしてガラスの破片が降ってきた。
「つばきさん、ここは危険です。逃げますよ」
抱き抱えられたと思った瞬間に、隣にいたミイちゃんごと景色が飛んだ。
―――燃え盛る炎の後ろで、わたしを狙う鬼の瞳が輝いていたことなど知らずに