クールガールと獣《ケダモノ》くん
あの日から、芹澤秋斗はよく店に来る。


決まって、眼鏡の男と
金持ちそうな茶髪のパーマの男と。


「結衣ちゃん、結衣ちゃん。」


「何か。」


「俺たちあっちの席がいいんだけど。」


芹澤秋斗は、私を名前で呼び、無理なことを言ってくる。


「あっちの席は、今お客様がいるから無理です。」


「何で?
いいじゃん。顔見知りでしょ?」


「顔見知りでも無理なのは無理よ。」


「あそう。
じゃあ、いいんだ?
こんな店、普通に潰せるよ?」


芹澤秋斗は、
【芹澤財閥】と言って
大きな財閥だ。


「あなた、何が目的なの。」


「結衣ちゃんが、俺と仲良くしてくれないからじゃん。」


何、コイツ…


「仲良くって何。」


「ん~そうだな~
俺と付き合う。とか?」


「そんなの。無理よ。
とにかく嫌がらせするなら店長呼ぶわよ。」


「そんな怖い顔しないでよ~。」


ガシッと肩を組まれる。


二人の男はニタニタ笑っている。



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