クールガールと獣《ケダモノ》くん
しばらくして、落ち着いた佐原恭二が口を開いた。


「小学校ん頃、
アイツと俺は一緒の学校だった。一個下のアイツは、俺にすっげえなついてさ。仲良かったんだよ。
俺もアイツも何も知らなかったから。」


「それで?」


「それで、アイツが4年生の頃俺の母親とアイツの父親が二人でいるとこを見たんだよ。
疑問に思った、アイツは自分の母親に聞いたんだよ。どうして、一緒にいたの?って。」


遠い目をした佐原恭二。


「アイツの母親は、
俺の母親が愛人やってるって知っていたんだ。
勿論、いいように思うわけねえから言ったんだよ。
アイツに。
佐原恭二は、あなたのお父さんの子よ。だから仲良くするなって。」


「それで、恭二はいつ知ったの?自分が愛人の子だって。」


「その後。
本当に俺が愛人の子だって意味がわかったのは、6年の頃。
中学に入って、別々になって、一切あってない。
だから、アイツは俺が嫌いだろうな。」


元々は、仲良くて…
突然、異母兄弟だと知ったら混乱するだろう。
それに、自分の父親も軽蔑するだろう。


きっと芹澤秋斗も、
傷ついただろう。


もしかしたら、佐原恭二を恨んでいるかもしれない。

「恭二は、芹澤秋斗が嫌い?」



「ん~どうなんだろ。
あの頃は、何も知らなかったから可愛い弟みたいな感覚だったけど。
今は、状況が違うからさ。」


悲しげな目。
一番の原因はやっぱりそれにあるみたいだ。





< 170 / 220 >

この作品をシェア

pagetop