クールガールと獣《ケダモノ》くん
どうしようもない黒い感情が駆け巡る。


「お前…ふざけんなッッ…」

殴っちゃダメだ…


そう思うのに…


気づいたら、秋斗の頬を殴っていた。


ぶっ飛んで転がった
秋斗は、怒りに満ちた目で俺をみた。


「お前の母親も、人のものに手を出した癖に…」


その通りだ…


「結衣は…関係ねえだろ。」


「ムカツクんだよ…
愛人の子供の分際で幸せそうにしてんじゃねえよ。
幸せになる権利なんかお前にはねえんだよ。」



何も言い返さずにしていたら、結衣が口を開いた。


「幸せになる権利なんか、他人が決めることじゃない。
それと。アンタも恭二も十分傷ついた。
だから、もう前に進めばいいと思う。」


「前に?どうやって!
俺の家庭は、めちゃくちゃなんだぞ。
ずっと家族ごっこだ。
今までどんな思いで俺がいたと思う…」

唇を噛みしめ、地面に拳をたたきつけた。

「秋斗…わかった…わかったから…
悪い。俺の母親が間違ってたんだ。
だから、ケリをつける。」


ずっと避けてきた母親と…


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