クールガールと獣《ケダモノ》くん
キッチンに向かっていき
包丁を自分につきつけた。


「母さんっ!!」


「何でよっ!嫌っ!
死なせてよ!」


暴れる母親の、手首を掴むとカランと音を立てて床に落ちた。


「ふざけんなよ…
何なんだよっ…アンタには俺がいるだろ。
少なくとも…俺はアンタの息子だろうが!」


「恭二っ…」


「一度くらいっ…
母親だと思わせてよ。
一度くらいっっ…俺を見てくれよ…」


ずっと心に秘めていた思い…


「恭二…ごめんっ…
ごめんなさい!!」


「愛人の子だって言われても…俺はアンタの息子なんだ…
女でいても構わねえよ。
たった一度でいいから、
母親らしいことしてほしい…」


「わかった…わかったわ。正幸さんと話す。」


「俺も行くから。な?
だから、死ぬとか言うな。」


< 181 / 220 >

この作品をシェア

pagetop