クールガールと獣《ケダモノ》くん
たまっていた水が…


溢れたんだ。



ずっと…たまっていた水が。



涙なんかじゃないよ。



悲しいから泣いてるんじゃないよ。


声も出さず泣く私を
佐原恭二は抱き締めた。



すがる自分は私じゃない…


どれくらい泣いていたのか、ずっと泣いてた。


「服、びしょびしょ。」


「…ごめんっ…」


「別にいいけど。」


「なんか…ごめん。
会っていきなりこんな姿見せた…」


「別に~。
泣いてすがるの見れたし。なんか俺、変な気分。」


「変な気分?」


「なんつうかさ、壊したくないって思った。
結衣が壊れて消えそうな顔してたから。」


消えてなくなりたい。


そう思ったことは何度もあった。



でも…助けてほしいと思ったのは初めてだ。





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