クールガールと獣《ケダモノ》くん
「私ね、父親が誰かわかんないんだ。」


なんでか聞いて欲しかった。



自分のことを…


抱えてるものを…


佐原恭二は、黙って聞いていた。



「母親が適当にやってできたのが私。
だから父親が誰かわからない。
小さい頃は、ばあちゃんに預けられてた。
ばあちゃんが死んでから一緒に暮らすようになった。

だけど、母親はずっと女として生きてる人。
男にすがってフラれたら家に帰ってきて…酒に溺れて…


あげくの果てに、金を娘からとる。


そんな人。」



「同じ。」



「え…?」



「俺も結衣と似たようなもん。
愛人の子だから。俺…」



お互い、愛なんて知らずに育った。


「そんなとこまで似てるんだね。」


「そーな。」



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