クールガールと獣《ケダモノ》くん
結衣side


暗くて、先が見えない
所に一人で取り残されて…


手を伸ばしても届かない…


そんな夢をいつも見る。



けど、今日は違って、
手を伸ばしたら誰かの手が伸びてきた。


それが誰なのかはわからない。


目を開けば、何故かベッドにいて。


隣には、すやすや寝息をたてる佐原恭二がいた。


そうだ。


昨日、ソファーで眠ってしまったんだ。



運んでくれたのか。


ベッドから出ようと、
体を動かすとそれを阻止された。



ガバッと抱きつかれ
抱き枕状態になる。


動けないし…


「どうすんの…これ。」


何もせず、朝を迎えたのは初めてだった。


間近にある、獣の顔。


女みたいに綺麗な顔で、
寝顔も整っている。


この顔なら、何人も女がいてもおかしくない。



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