クールガールと獣《ケダモノ》くん
連れてこられたのは、
居酒屋だった。


「ねえ、何故居酒屋?」

「まあまあ、座れよ。
とりあえず生でいいよな?」


「あ、うん。」


何考えてんのかわからない。



ツンツン頭は、私の顔をジッと見つめた。


「何か。」

「アンタと恭の間に一体何があったわけ?」

「は?」

「いやあさ、恭のやつ
最近楽しそうだし。
何より女を抱けなくなったとか言い出すし。
何がどうなってんの?」


「恭二が、女を抱けなくなった?」


あの獣が?


「そ。
先週の日曜日あたりから
アイツおかしいんだよ。」


「日曜日…。」


その日は…
デートってやつをした日だ。


「やっぱり何かあったんだ。」


「別に。
ただ、デートをしただけ。」


「ぶっ…ケホっケホっ…」


いきなり生ビールを吹き出すツンツン頭。


「汚いな。」


「わり…びっくりした…
アイツがデートって…」


「恭二から誘って来たのよ。」


「マジか…」


何故かニヤニヤし始める。


「一体何がいいたいの。」


「そっか。そーゆうこと。」


「は?」


「恭も人間っつうわけ。」

一人で納得して
ビールを飲み干した。


「人間には変わりないでしょ。」


「恭もアンタも似た者同士だからわかんだろ?
全てをシャットダウンしてるだろ。恭。」


「うん。」


「ロボットになんじゃねえかって心配だったけどさ、アイツも人間らしくなったわけだ。」


「そう。」


「アンタも人間らしくなったじゃん?」


「はあ?」


「今、すっげえ乙女な顔してる。」


乙女?


わけがわからず、
顔を覆った。


「ククっ…
無表情、冷血冷酷なクールガール。
全然イメージ変わったわ。」


「恭に狂わされたのよ…
アイツに逢ってから私じゃなくなる。」


「今のが本当のアンタなんじゃん?」


そんなこと…ない



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