クールガールと獣《ケダモノ》くん
教室に行く気にもなれず、保健室に行った。



「お~恭二、しけた面してんな。」


「うるせぇよ…」


「悩みがあったら聞いてやろうかー?」


「ねえよ…別に。
ただ…すっげえ胸がいてえんだ。」


「俺は医者じゃねえから、病気は直せねえが…
ここの話だったら、相談のってやるけど。」


俺の胸にグーで叩く弘平。


「ルイ…、結衣が好きなんだと。」


「で、へたれなお前は、
何もできずただ、黙ってるだけってか。」


「仕方ねえじゃん。
俺には、恋とか愛とか知らねえもん。
本気になったところで、
どうせ裏切る生き物だろ。人ってのは。」


「そうやって、いつまでもガキみてえなこと言ってるから、お前は弱虫なままなんだよ。
ずっと逃げたまんまでいいのかよ。」


「こわいんだよ…
自分が本気で人を好きになって、どうしていいかわかんねえんだよ。
大切にできるかもわかんねえ。
わかんないことだらけなんだよ…」


愛人の子と呼ばれ続け、
まともに人を好きになるなんて無理なんだよ…


結衣を幸せになんてできねえよ…



「じゃあ、きっぱり諦めろ。
そのまま。指くわえてみてりゃいいさ…」



「はあ?」



「ガキは、ガキらしく
してりゃいい。」


「弘平、お前ムカツク。」


イライラがつのる。



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