願う場所、望む奇跡
「それが、よく分からないんです。最近は、告白されることさえ嫌がっているみたいで。
……好きな人でもいるのかなぁ」
そう莉亜が言った時、急にカタンと音がした。
「えっ、なっ、何っ?」
私や莉亜がたてた音ではない。
だけど、静かな空間にはっきりと響く。
「……ようやく離れたみたいですね」
何もかも分かっているように、莉亜が呟く。
「どういうこと?」
「実は、あたしも狙われているんです」
そう言われたけど、意味が分からない。
狙われているって誰にだろう。
首を傾げると、莉亜が笑って答える。
「あたしに弟いるの知っていますよね?その弟が、義哉くんの唯一の親友なんですよ。だから、あたしから情報を聞き出したい人はたくさんいるんです」
「あ、なるほど」
そう納得してみたものの、社内にまで莉亜を狙っている人がいるのかと首を傾げてしまう。