願う場所、望む奇跡
「気づいていないと思いますが、この会社でも義哉くんを狙っている人はいますよ」
「へぇ、そうなんだ」
社会人までが狙っているとは思わなかった。
まさか、私より年上の人もいるのだろうか。
それにしても、莉亜は情報通だな。
何でも知っているんじゃないかと感心していると、莉亜は私に釘を刺してくる。
「夏希先輩、自分に関係ないって思っていませんか?甘いですよ」
「何で?関係ないでしょ」
「何言っているんですか!義哉くんのお姉さんですよ?そのことが知られれば、あたし以上に情報を聞き出そうと寄ってきますよ!」
莉亜にそう言われて、ようやく気づいた。
本人から何も聞けないのなら、周りから聞き出す方が早い。
まして、それが家族なら尚更だ。
とは言え、一緒に暮らすようになってまだ2日。
そんな私が情報を持っている訳がない。
だけど、そんなのお構いなしなのだろう。
「気を付けて下さいね。誰もが夏希先輩と仲良くなろうとしますから」