願う場所、望む奇跡
莉亜から忠告を受けた。
会社の中で仲が良いのは莉亜だけだ。
あとは、同期の人と飲みに行く程度。
元々、誰とでも話すけど、プライベートとなれば話しは別だ。
それに、自分の身内を売るような真似は絶対しない。
「まぁ、夏希先輩なら大丈夫でしょうけど」
にっこり笑って莉亜が言う。
もう5年ぐらいの付き合いだ。
莉亜も私のことをよく分かっている。
「何かあったら相談乗りますから」
莉亜の言葉に、私は安心していた。
同じ境遇に逢った莉亜なら、困ったことがあったら助けてくれる。
気持ちも分かってくれる。
いざとなったら、相談しようと考えていた。
だけど、そんな莉亜にも相談出来ない悩みが出来るなんて思いもよらなかった。
そんなこと、漫画や小説の中だけの話しだと思っていた。
それが現実、それも自分の身に起こるなんて、この時知る由もなかった。