願う場所、望む奇跡

*淡く揺れる心




弟、義哉が家族に加わって1ヶ月。

社内ではどこから聞きつけたのか、義哉の姉だと言うことが広まっていた。

そのため、いろんな人が情報を聞き出そうと寄って来た。

それを、私は上手くあしらっていた。

全てに対応していたら時間の無駄だと思ったから。

それに、これは社内限定のこと。

義哉の学校では、姉の存在は知られていないと莉亜の弟情報があった。


そもそも、私は情報など持っていない。

1ヶ月経っても、私と義哉の関係は相変わらずなのだ。

まともに話せていない。

義哉から話しかけてくれるんだけど、そのたびにドキドキして普通に会話が出来ない。

姉弟ってなんだろう。

どういう会話をするんだろう。

血の繋がった弟なのに、妙に意識してしまうんだ。


私が家に帰る頃には必ずいて、「お帰り」と言ってくれる。

それも、玄関までわざわざ来てだ。

なんか、こっぱずかしい気もするけど。

母親に聞けば、元々部活には入っていないらしく、授業が終わったら真っ直ぐ帰って来るらしい。

それで、料理とかを手伝っているらしい。




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