願う場所、望む奇跡
☆Secret.3
*震える指先
「あの子、ぶりっ子に性格悪いな。それに、頭悪そう」
さっきの出来事で、莉亜がブツブツ言っている。
正直、それさえあまり頭に入ってこない。
さっきのことが頭の中でグルグル回っている。
「……先輩?夏希先輩?」
ボーっとしていた私の前に立ち、莉亜が手を振っている。
「え?あ、何?」
「何、じゃないですよー。大丈夫ですか?」
我に返って答えるけど、帰ってくるのは呆れた表情。
「うん、大丈夫だよ」
一応、そう答えるものの、あまり大丈夫じゃない。
義哉に彼女が出来た。
莉亜の話しでは、今まで告白を全て断っていたはずなのに。
それだけ、あの子は特別なのだろうか。
空気は違和感ありまくりだったし、2人が話している姿を見ていないけど。
まさか、彼女が出来るとは思わなかった。
断っていたから作る気はないんだって、どこか安心していた。