願う場所、望む奇跡
俺は、それをじっと見たあと、ふいっと無視した。
「えっ、ちょっと、義哉くんっ」
俺に無視されて驚いた女は、何でも名前を呼んでいる。
いじめている側は、そんな姿を見て鼻で笑っている。
「彼氏に見捨てられたねぇー」
「え?振られたんでしょう?」
「イヤイヤ、元から付き合っていないんだよー」
「あ、勘違いってヤツかー。かわいそー」
色々言いたい放題しているけど、俺はそれを否定はしないな。
「違うっ。今でもちゃんと付き合っているっ」
「だったら、この状況助けてくれたんじゃない?」
確かに、本当に彼氏だったら助けるよな。
好きだったら、助けるよな。
まぁ、好きじゃねぇから助けねぇけど。
女の叫びは虚しく聞こえる。
俺は、これで別れたって噂にならねぇかなって思った。
それで、自然消滅にならねぇかな。