願う場所、望む奇跡



でも、あの女があの状態じゃ、自然消滅は望めねぇな。

そんなことを家でぼんやりと考えていた。

今日は、休日で母さんは仕事、夏希は莉亜さんと出かけていた。

珍しく1人でいるため、俺らしくもないぐらい悩んでいた。


すんなり別れるとは思えない。

また、付け狙うだろう。

それは気を付けるとして、夏希へはどうしたらいいのか。

夏希は彼氏と仲良くやっているんだから、割って入ることなんて出来ない。

だけど、下手に周りからバレるぐらいなら自分で伝えたい。



――――――そう思っていた時、家のチャイムが鳴った。

誰もいないから俺が出るしかないけど、めったに訪問者なんていないから珍しいな。

そう思いながら、玄関まで行ってドアを開けた。

そこには、思ってもみないヤツが立っていた。



「こんにちわ」



爽やかな笑顔と共に、挨拶される。

俺は、眉をひそめる。



「姉さんなら出かけているけど」


「ああ、夏希じゃないよ。君に、用があるんだ」




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