願う場所、望む奇跡
「な……何したの……?」
「写真のデータを削除した。だから、あんたの脅すネタはもうない訳」
カシャンッと音を立てて携帯が落ちる。
そして、女も崩れ落ちる。
「じゃあ、2度と俺に近寄るな」
「どうして?義哉くん、あたしのこと好きだよね?」
「は?」
え、何言ってんの、コイツ。
どこをどうやったらそう見えるんだろう。
消去するために、少し甘い顔をしたからか。
それだけで好きだって思えるって、すっげぇ思考してんな。
「俺、あんたみたいな勘違い、嫌い。今、同じ空間にいるのも嫌」
それ以上話すことはないと思い、教室を出る。
「また写真、狙うから」
教室を出る時、そんな言葉が聞こえた。
それを、本人に向かって言ったら意味はない。
警戒されるに決まっている。