願う場所、望む奇跡
*心の叫びを聴かせて
義哉に彼女がいる。
それは、現実として受け止めないといけない。
そもそも、松本くんと付き合っているのだから、義哉のことは忘れないといけない。
松本くんだけを見ていればいいはず。
最終的に、忘れさせてと頼んだのは私なのだから。
「あのさ、夏希……もう無理しなくていいよ」
「え?」
そう言われる意味が分からなかった。
松本くんに変わった様子はなかった。
今日もいつも通り、デートをしていたはずなのに。
「夏希、まだ義哉くんが好きだよね?」
はっきりそう言われてしまった。
最近の私の態度でバレていたんだ。
それに、女の子たちが義哉に彼女が出来たらしいと話しはしていた。
それを耳にしたのなら、簡単に分かる答えだ。
だからと言って、素直に頷くことは出来ない。
「はっきり言っていいよ。元々、無理強いしたのは俺だ。夏希が気を遣うことはないんだよ」