願う場所、望む奇跡
そうは言うけど、最終的に私は受け入れた。
だから、松本くんが無理強いした訳ではない。
自分の気持ちを見誤っただけなんだ。
他の人と付き合えば忘れられると、勘違いしていたんだ。
「俺さ、それでも夏希を振り向かせる自信はあったんだ。義哉くんを忘れさせる自信があったんだ」
それに対しては、何も言えない。
私は、黙って聞くしかなかった。
「何もかも初めてとは言え、相手は弟。すぐに勘違いだったって。イケメンに免疫ないから、ただの憧れで好きじゃなかったって言ってくれると思っていた。
でも、俺の勝手な思い違い。今でも忘れられないほど、夏希は本気だった」
そこまで一気に言って、遠くを見つめる。
「いつか振り向かせる。それまでは、どんなに苦しくても一緒にいようと決めていたけど……。
見込みがないのに、傍にいるのは辛い」
そう言って、悲しそうな顔をする。
恋愛初心者の私は、何も分かっていなくて、自分のことしか考えていなかった。