願う場所、望む奇跡
「とりあえず、もらっとくね」
「あ、莉亜ちゃんと行ってもいいしね」
「あー、うん。そうだね」
ごめん、莉亜の存在を忘れていた。
莉亜には心配かけたけど、何も言っていない。
いつかは言わないといけないと思っているんだけど、なかなか言い出せない。
どんな反応するか気になってしまう。
この宿泊券を使って、莉亜に話そうかな。
そう思いながらお風呂から上がり部屋に戻ると、そこには当然のようにいる義哉。
一瞬、部屋を間違えたのかと思った。
「早く入って、ドア閉めて」
自分の部屋かって思うぐらいくつろぎながら言う。
えっと……お母さんいるんだけど。
そう思いはしたものの、ドアを閉める。
「夏希、結局コレどうするの?」
そう言いながら手に持っていたのは、さっきの宿泊券だった。
「え?あ、どうしようかな」