願う場所、望む奇跡
「今まで我慢してきたんだし。あれで満足する訳ないよね」
「あ、イヤ、え?私、初めてだって言ったよね?」
「分かっているよ。だけど、そのうち慣れるし、優しくするよ」
「そういう問題じゃ……」
「はい、黙ってー」
言い合いをしていたのに、最後は有無言わさず唇を塞がれた。
それと同時に、義哉の手は忙しなく動き出す。
その手に、否応なしに体中が反応してしまう。
それに気付いた義哉は、満足そうに笑う。
「俺のモノ。誰にも渡さないから」
そんな言葉が聞こえたかと思うと、夢中で唇を奪われた。
そんなこと、私だって一緒だよ。
誰が現れても、絶対に渡したくない。
それだけ好きなんだもん。
弟だとか関係ない。今井義哉という人が好きなんだ。
堂々と出来ないし、不安がない訳じゃない。
それでも好きだから。
この場所は誰にも渡したくはない。
こんなに人を好きになったのも、触れたいと思うのも義哉だけだから。
甘く溶けそうな中、そんなことを思った。